「ゆとり」と「バブル」の入社理由ランキング シリーズ第6弾(vol.25)

ゆとり世代とバブル世代の入社理由を集計
会社選びにおける世代間の違いを調査しました


要旨:

  • ゆとり世代の入社理由1位は「自身の成長・キャリア(40.1%)」と自分軸を重視。
  • ゆとり世代は「会社の強み・将来性」よりも「社員・人事担当者」が上位。より「人」を重視する傾向に。
  • バブル世代は会社軸(「業界・事業内容」「会社規模・安定感・知名度」「会社の強み・将来性」)を重視。

今回の調査レポートは、「就活応援プロジェクト」第6弾として、ゆとり世代(1987~96年生)とバブル世代(1964~69年生)からの会社評価レポートを対象データとし、「入社理由」についてのフリーコメントを11個の入社理由カテゴリに分類しランキングを集計しました。


世代別の入社理由ランキング


ゆとり世代の入社理由1位は「自身の成長・キャリア」

ゆとり世代の入社理由で最も多かったのは「自身の成長・キャリア」という結果となりました。バブル世代の1位が「業界・事業内容」であるのに対し、ゆとり世代の多くは、会社に対して自身の成長環境を求めているようです。


好景気であったバブル世代と比較すると、大企業のリストラや倒産を目の当たりにし、先行きが不透明な中で育ったゆとり世代は「若いうちからスキルを身につけ、自分の市場価値を高めたい」という成長欲求が強く出ていることがうかがえます。


バブル世代と比較すると、ゆとり世代は会社選びにおいてネームバリューや会社の規模にとらわれなくなってきています。「(いい)会社に入って、どういう人生を歩むか」という会社軸の考えが強かったバブル世代に比べ、ゆとり世代は「自分の人生において、この会社で何ができるか」という自分軸の考えに変わってきていることが表れているように見えます。


  • ゆとり世代の入社理由クチコミ
「若いうちから責任ある仕事を任せられ、早く成長できると思ったから。(コンサルティング、男性)」


「社員平均年齢が若く、多くの経験、チャンスが20代で掴めると感じたから。(フードサービス、男性)」


「自身の市場価値を高めるために厳しい会社と理解しながらも入社した。(銀行、男性)」


「人」を重視するゆとり、「会社特徴」を見るバブル

会社を選ぶに当たって、興味のある業界や、安定性を重視することは全世代に共通するポイントといえますが、ゆとり世代はバブル世代と比べ「社員・人事担当者」を「会社の強み・将来性」よりも重視しているという結果となりました。


インターネットの発達、SNSの普及と共に、様々なコミュニティや個人同士の「つながり」を持つゆとり世代は、多くの人の意見を理解、吸収できる「共感力」が高く、物欲(モノ)よりコミュニケーション欲(人間関係)を大事にする世代とも言われており、社員の人柄や人事担当者との相性を重視しているようです。バブル世代と比べ、就活における情報量が圧倒的に多いゆとり世代にとって、実際に会う社員から受ける影響力が増してきているのかもしれません。


  • ゆとり世代の入社理由クチコミ
「人事担当者の方が熱心に私の話を聞いてくれて、アドバイスを送ってくれたことがきっかけです。(証券、男性)」


「面接官や人事の方など、全員気さくで働きやすいと感じたから。(生命保険、女性)」


「実際に働いている先輩社員を見て、決めた。(航空、男性)」


博報堂 若者研究所リーダー原田曜平さんによるコメント

① ゆとり世代の「将来不安」が反映された結果。

デフレの15年、失われた20年を生きてきたゆとり世代は、将来に対する不安がバブル世代と比べてとても強い傾向にあります。そういう意味で、「自身の成長・キャリア」がゆとり世代の1位となっているのでしょうね。また、「会社の強み・将来性」の順位が低いことも「将来どうなるかわからない」という不安をもつゆとり世代の特徴を表しているように思いました。


② 「社員・人事担当者」を重視するのはゆとり世代ならでは。

実際に就職活動中の若者と接していても、「社員の方の印象が良かった」といった声は多く聞きます。新卒採用サイトのブランディングをお手伝いした際にも、年齢の離れた経営層ではなく、若手社員の写真により反応していました。テレビ番組でも、より身近なタレントさんを出した方が若者の支持が伸びるなど、「自分に近い存在」に共感する傾向がありますね。


③ 意外な結果も。Vorkers(現:OpenWork)ユーザーの特徴の表れ?

ゆとり世代の「海外志向」がバブル世代と比べ低いのは納得ですね。留学希望者も減っていますし、より地元・ローカル志向が強まってきている表れだと思います。ですので、「勤務地」がゆとり世代で高くなかったのは意外でした。「自身の成長・キャリア」が非常に高いところや、「ワークライフバランス」がとても少ないという結果を見ると、Vorkers(現:OpenWork)のユーザーはゆとり世代の中でもキャリア意識が高い方が多い印象を受けました。

原田曜平氏プロフィール

1977年東京都出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、2001年に博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。流行語大賞にノミネートされた「さとり世代」のほか、「マイルドヤンキー」などの言葉を生み出している。「ZIP!」(日本テレビ)金曜レギュラー、「情報7daysニュースキャスター」(TBS)などに出演。多摩大非常勤講師。


データの集計について

データの収集方法

「Vorkers(現:OpenWork)」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。

会社評価レポートの回答条件は下記のとおりです。

  • 社員として1年以上在籍した企業の情報であること
  • 500文字以上の自由記述項目と、8つの選択項目に回答いただくこと

以下の2つのデータについても収集しています。

  • 月間残業時間(実数)
  • 有休取得率(実数)

対象データ

Vorkers(現:OpenWork)に投稿された会社評価レポートのうち、ゆとり世代(1987~96年生)とバブル世代(1964~69年生)の新卒入社社員からの会社評価レポート12,692件(ゆとり10,952件、バブル1,740件)を対象データとし、「入社理由」についてのフリーコメントを11個の入社理由に分類しました。ひとつのクチコミに複数の入社理由がある場合には、それぞれの分類にカウントしています。

会社評価レポートの回答ページはこちら⇒

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