中途入社者23万人が選ぶ「人事評価が適正な企業ランキング」(vol.108)

人事評価制度に納得感がある企業の特徴とは?


要旨:

  • 1位にケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ、2位にプルデンシャル生命保険、3位にネオ・コーポレーション
  • TOP30企業の「人事評価の適正感」スコア平均は4.32点
  • 完全成果主義、オープンな評価制度など、「ブラックボックス」化していない納得感のある評価制度は高評価の鍵
  • 「人事評価の適正感」スコアは企業の3年後の売り上げ、1年後の株式パフォーマンスに影響する指標

ジョブ型採用やアルムナイ採用(※1)、リファラル採用(※2)など多様な中途採用が広がり、近年の転職者数は増加(※3)しています。今後は「生え抜き社員」だけで構成される企業は減り、様々な入社形態やバックグラウンドを持つ社員がそれぞれの強みを生かしながら働くことが予想される中、どんな立場や経歴を持つ社員でも公平に人事評価をされることは、企業経営において一層重要視されると言えるでしょう。


今回の調査レポートでは、中途入社した社員による「人事評価の適正感」の会社評価スコアでランキングを作成しました。OpenWork上の「人事評価の適正感」とは、業務成果やパフォーマンスに対する評価の適正度を5段階評価でスコア化した指標であり、「待遇面の満足度」とは異なる別の指標として設けています。中途入社者が実際に働いてみて「適正な人事評価制度である」と感じた企業にはどのような特徴があるのでしょうか?

(※1)退職した社員=卒業生(アルムナイ)を再び採用する方法

(※2)在籍社員から紹介してもらった友人・知人を採用する方法

(※3)総務省「労働力調査2022」より、転職者数は303万人と前年(2021)に比べ13万人の増加


中途入社者23万人が選ぶ「人事評価が適正な企業ランキング」TOP30

TOP30企業の「人事評価の適正感」スコア平均は4.32点!評価が「ブラックボックス」ではなく納得感・公平感があることが高評価のポイント

23万人の中途入社者が「人事制度が適正である」と評価した企業を集計した本ランキング。1位にケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ、2位にプルデンシャル生命保険、3位にネオ・コーポレーションという結果になりました。ランキング全体では、コンサルティング、金融、メーカー、不動産、インターネットサービスなど、業界業種を問わず多種多様な企業が並びました。本ランキングにおける集計対象データ全体の「人事評価の適正感」スコア平均点が2.82だったのに対し、TOP30企業の平均点は4.32と、全体と比べ2点近くの大きな差が生じていました。


ランクイン企業で働いた中途入社者が投稿したクチコミを見てみると、“完全”な実力主義、給与テーブルや評価基準が非常に明確・オープン、新卒中途も関係ない雰囲気、といった特徴を挙げ、その制度に納得・理解した上で業務にあたっている様子が見られました。特に、不動産業界・生命保険業界の企業では完全成果主義・フルコミッション制の評価に対する声が、外資系企業では待遇の良さ、オープンでフラットな評価制度に対する声がみられました。人事評価制度は企業によって様々な個性や特徴・文化がありますが、「この会社の人事制度は適正である」という社員の納得感に繋がる要因は、不公平感が少なく評価結果は上司のみぞ知る“ブラックボックス”状態にしないこと、その上で自社の制度が名ばかりで形骸化せず、しっかり機能していることがキーファクターと言えそうです。


上位ランクイン企業の中途入社者がOpenWorkに投稿した「人事評価」に関する社員クチコミ


「Pay for Performanceという方針が一貫しているので、パフォーマンスが発揮できない人は普通に降格しますし、『年下の新卒の上司』ということも起こり得ます。(コンサルティング、男性、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ)」


「完全実力主義。絶対評価のため数値基準に達した者がボーナスとして給料が増える仕組みであり、その点では非常に明快。(ライフプランナー、男性、プルデンシャル生命保険)」


「給料に上限がないため、稼げる人はとことん稼ぐことができる明確な制度が整っています。役職者数にも決まりがないため、役職の空きがない限り昇格することができないなんてこともありません。(営業、男性、ネオ・コーポレーション)」


「年に2回、担当上司と、普段業務をよく一緒に行う2人から受け取る評価を元に、チームを超え全ての営業担当マネージャーがあつまった会議にて評価を行う。自分の所属するチームへの貢献や売上目標達成だけでなく、チームを超えた業務への協力や貢献があるかも重要な評価指標となる。(クライアントソリューションマネジャー、男性、Facebook Japan)」


「昇給・昇格の基準を提示しているので、キャリアアップは早いと思う。営業なのでインセンティブが基本給を超えるほどもらえる事もあるので、稼ぎたい人にはいい環境。(営業、女性、LUXURY)」


「非常にオープンな文化だと思います。いつ誰がどのような仕事をしていて、成果があったか、悩みを抱えているのか、といった内容はすべて、主なコミュニケーション手段であるSlackや1on1の面談履歴でも社員全員がアクセスできる環境になっています。(営業CS、女性、Techouse)」


「時間ではなく成果で評価される会社なので、何らかの事情で時間のコミットができない社員でも正当に評価される。(管理部門スタッフ、女性、Box Japan)」


「人事評価の適正感」スコアは企業の「3年後」の売り上げにつながる指標

OpenWorkのデータを活用した研究論文(※4)にて、「人事評価の適正感」スコアは「働きがい」スコアと強い相関関係があり、この「働きがい」スコアは企業の3年後の「売上高変化率」、1年後の「株式パフォーマンス」につながる可能性が高いと証明されています。人事評価の適正感を高める・改善することは、実際に働く社員がやりがいを持って働く環境に繋がるだけでなく、自社の業績・株式評価にも影響を与えると言えます。今後ますます活発化する中途採用市場において、どんな入社形態の人であっても自社で活躍できる・評価される人物像を定義し、そこから人事評価制度を設計・再考していくことは企業経営において今後ますます重要になると予測されます。

(※4)西家宏典・長尾智晴(2021) 「従業員口コミを用いた働きがいと働きやすさの企業業績との関係」

ジャフィー・ジャーナル第 19巻より引用(一般社団法人日本金融・証券計量・工学学会)


データの集計について

OpenWorkに2020年以降に投稿された、中途入社者による会社評価レポート回答238,416件を対象データとして使用。※対象者・集計期間を限定しているため「OpenWork」の各企業ページで掲載している企業評価点とは異なる

会社評価レポートの回答ページを見る ≫

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