経営者に伝えたい「コロナ禍の社員の声2020」(vol.79)

昨年と比較して投稿が増加したワードは?激動の2020年に社員が感じたコト


要旨:

  • OpenWork「経営者への提言」への投稿から今年増加した社員クチコミワードを抽出
  • 経営陣、テレワーク、企業文化に関するワードが昨年よりも多く見られた

2020年は、新型コロナウィルス感染症の世界的拡大により、今までの生活様式すべてが一変する激動の1年となりました。働き方においても、安全対策の実施や新たな業務形態の確立、テレワークの導入等、大きな変化への対応を余儀なくされました。日々状況が変わるコロナ禍において、企業は新しい体制づくりや、新たに浮かび上がった課題解決に動き出し始めています。


今回の調査レポートでは、昨年と比較してあまりにも変化の大きかった今年、社員クチコミでどのようなワードが増加したのかを調査しました。社員が会社への想いを投稿する「経営者への提言」項目のフリーアンサーを集計し、頻出ワードを昨年と比較。増加したワードから見える社員の声を考察します。


「経営者への提言」2020年に増加した社員クチコミワード

クチコミ頻出ワード「経営陣」について

「経営者への提言」に投稿された社員クチコミのため、当然ながら「経営陣」「マネジメント」といった経営や組織に関連する単語は元々多い傾向にありますが、昨年と比較してこれらのワードが大きく増加している点は注目すべきポイントです。コロナ禍による市況の厳しさや、テレワーク下でのコミュニケーション、評価育成の難しさ、経営者が直面する課題は例年以上に山積しています。そんな中、OpenWorkに投稿された社員クチコミからは、時代の変化に対する柔軟な姿勢や大胆な決断を求める声が見られました。


大変な時期になっていることは、経営陣も従業員も共感している。変化が必要なことは理解しているが、リスクを避ける企業文化のため、従業員は変化することを怖がっている。現状をごまかすことなく、経営陣の大きな決断が必要な時期。(男性:自動車、自動車部品、輸送機器)


ワンマン経営に限界が来ている時期だと思うので、社長含め経営陣の新陳代謝が必要。企業拡大期には通用していたが、時代の変化に経営陣が適応出来ていない様に思う。潔く後進に譲り、新しい風とこれまでで確立した事業が混ざれば更にもう一段階企業として大きくなれるのでは。(男性:SIer、ソフト開発、システム運用)


社員数が急増しているため、マネジメント方法や制度など社員数に応じて変えていく必要がある。何をどのように行うのか考え、引き続き成長させていきたい。(男性:コンサルティング、シンクタンク)


もう少し組織として細分化されて、専属でマネジメントを行うマネージャーが必要かと思われる。昔ながらの方法も良いが、規模に合った動き易い組織が出来ると、更に自ずと伸びると思われる。(男性:食品、飲料)


会社が大きい分、ミドルマネジメント層と経営層とのコミュニケーションがキーになってくるかと思います。人材は申し分ないほど、優秀な方々が集まってきていますので、ある意味、新卒も中途と同じ見方で育成させ、適材適所で組織マネジメントの更なる強化ができると考えています。(男性:インターネット)


クチコミ頻出ワード「テレワーク」について

厚生労働省が11月に発表した調査(※)によると、すでにテレワークを導入している企業の43.7%が「新型コロナウィルス流行時と同程度」または規模を拡大して継続したいと回答しており、また、テレワークを経験した従業員のうち87.2%が今後の継続実施を希望しています。一方で、多くの企業が緊急事態宣言をきっかけにテレワークを導入しており、社内の体制づくりが追い付いていない面も指摘されています。OpenWorkに投稿された社員クチコミでも、「テレワーク」「在宅」「IT」「DX」「デジタル化」といったワードが増加しており、企業の素早い対応を評価する声や、未導入を疑問視する声、制度と実態の乖離を指摘する声など、多くの提言が見られました。

(※)厚生労働省 テレワークの労務管理等に関する実態調査(2020年11月16日)


コロナの思わぬ副産物でテレワーク、業務DXが進んできた。これを好機と捉え、今後も進めていってほしい。(女性:建築、土木、設備工事)


営業職の場合DX化が全く進んでおらず、事務作業で時間がとられる場合もある(コロナ影響で事務員が減ったこともあり)更なるDX化をお願いしたい。(女性:人材サービス)


コロナ禍で営業実績を取ることが厳しくなった今、営業スタイルをITにシフト化している。一方でそのような研修体制が全体に反映されておらず能力差が個人によってそれぞれだと感じる。(女性:生命保険、損害保険)


アフターコロナ以降どう多角化経営を生かし、デジタル化を取り入れられるかが鍵となるのではなかろうか。(男性:化学、石油、ガラス、セラミック)


コロナウイルスという前代未聞の悪い状況の中で、テレワークしないのは理解できません。(男性:コンピュータ、通信機器、OA機器関連)


コロナ禍の状況でテレワーク環境は整備されているにも関わらず半数は出社しており古い体質が残っていると感じる。GAFAになれとまでは言わないが口先で新しいことを言っても体質が旧態依然のままではこれから生き残ることは難しいと思われる。(男性:SIer、ソフト開発、システム運用)


クチコミ頻出ワード「企業文化」について

昨年に比べて増加したワードの中には「文化」「年功序列」といった企業文化に関連するものも多く見られました。今年は、新卒一括採用や年功序列、終身雇用といった日本型雇用システムの見直しが大きく注目された年でもありました。グローバル化による競争力の確保、デジタル人材の獲得等を目的に、「ジョブ型」と呼ばれる、年齢年次ではなく職務による人材配置への移行を推進する日系企業も増えてきています。OpenWorkに投稿された社員クチコミからも、旧来型の体制に固執せず変革を求める声が多く見られました。


品質の確保を最優先にしている現在の戦略を変えずに、多様性(女性の働きやすい環境作りの継続、多様なバックグラウンドの人材を受け入れる文化)を高め、業界をリードする企業としてのプライドを醸成してほしい。(女性:監査法人、税理士法人、法律事務所)


挑戦を推奨する文化ではあるが、家族的な雰囲気も相まって年功序列な昇格は若手のモチベーションを下げやすい。環境としては素晴らしいのでもっと抜本的な登用などがあっても良いかと思う。(男性:食品、飲料)


せっかく年功序列を廃止し、実力本位の評価制度への移行を試みているので、新卒採用に関してコース別の採用を活発化させるのはいかがであろうか。コース別採用による選民意識・入社時点で高い年収を提示することで、優秀層を取り込めるのではないか。(男性:銀行、信金)


古き良き時代の日本の働き方から受け継ぐ必要のある働き方もあると思いますが、今この時代だからこそ変えなきゃいけないことがたくさんあると思います。日本を代表する企業だからこそ、変革の先陣を切ってもらいたいと思います。(男性:自動車、自動車部品、輸送機器)


コロナの影響を受け、改革期を迎えている。社員の入社時の能力は非常に高いが、成長環境があるかというと疑問。社員の長所を伸ばす人事運用や企業文化を築かないと、今後一気に人材流出が生まれるはず。(男性:航空、鉄道、運輸、倉庫)


データの集計について

データの収集方法

「OpenWork」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。

  • 社員として1年以上在籍した企業の情報であること
  • 500文字以上の自由記述項目と、8つの選択項目に回答いただくこと
  • 月間残業時間(実数)、有休消化率(実数)についても収集

対象データ

2019年1月~2020年11月までにOpenWorkに投稿された「経営者への提言」の現職社員によるクチコミ22,893件を対象データとし、名詞の出現頻度を集計しました。その内、2019年出現率が2%以下、2020年出現率との差分が0.2%以上のワードをまとめています。

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働きがい研究所

1,700万件以上の社員クチコミと評価スコアを持つOpenWorkが、データから「働きがい」を調査・分析するプロジェクト。質の高いデータが集まるOpenWorkだからこそ見える視点で、様々な切り口による企業ランキングや、専門家による分析レポートなどを発信しています。