長く働けて若手もおすすめする企業ランキング(vol. 122)

平均勤続7年以上!安定だけじゃない、長期的キャリアを築ける企業の特徴は?


要旨:

  • TOP20 はほぼ日系企業。「終身雇用・年功序列型」の雇用慣行が影響か 
  • 1 位は野村アセットマネジメント、2 位は ISS リアライズ、3 位は中外製薬 
  • 上位企業に共通する、社員研修の充実と若手の積極性を伸ばす風土 
  • 医薬品・医療機器業界から 4 社がランクイン。鍵はフラットなコミュニケーション


「3年・3割」―。新入社員が就職後3年以内に離職する割合を指します。厚生労働省が昨年発表した、新入社員の就職後3年以内離職率は32.3%(※)と、「3年で3割が辞める」傾向は長らく続いています。近年の売り手市場も追い風となり、就職後の早い段階から、自身のスキルアップや成長環境を求め、転職を視野に入れたキャリア選択をする若手が増えていることも考えられます。 

一方、ライフステージの変化などに柔軟に対応しながら、中長期的なキャリア設計を考えるからこそ、「1社で長く働きたい」と望む若手も少なくないのではないでしょうか。今回の調査レポートでは、OpenWorkに投稿された社員クチコミから、回答者の平均勤続年数が7年以上の企業に限定し、20〜30代社員からのネットプロモータースコア(NPS、「親しい友人や家族にその企業をどの程度勧めたいと思うか」を0~10点の11段階で評価)が高い企業を調査しました。長く働きやすい環境で、若手社員が「おすすめできる」と感じる企業をランキング形式で紹介します。

 (※)厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)より 




TOP20 には日系企業がずらり。上位企業に共通する「若手が手を挙げやすい」環境

回答者の平均勤続年数が7年以上の企業に限定し集計した本ランキング。20〜30代の社員からの「おすすめ度」が高い20社には、多くの日系企業がランクインしました。 

ランクイン企業に寄せられたクチコミからは、社員の長期的なキャリア開発を前提とした社内研修や社員教育が充実していることを挙げる声が多く見られました。日系企業で従来導入されてきた、終身雇用などを前提とした雇用慣行が影響していることが考えられます。 

また、クチコミからは「若手でも意見を言える」「手を挙げればやらせてもらえる」といった、若手社員の積極性を伸ばす組織風土もうかがえました。若手社員が自社を「おすすめする」背景には、ただ長く働けるだけでなく、こうした成長を促す機会や環境があると言えそうです。 


ランクイン企業の社員が OpenWork に投稿した、組織風土に関するクチコミ

「運用部の若手は基本的にメインのポートフォリオマネージャーのアシスタントとして運用に携わることになるが、若手の意見であっても説得力があれば戦略に反映され、それが収益を生む瞬間には非常に喜びを感じる。(運用部、男性、野村アセットマネジメント)」
「マーケティングから訪問、提案、見積、価格設定、調達先選定までを一貫で営業が担当できるので『自分で作った仕事』と誇りを持って言えるだけの働きがいがある。『若手が成長できる』というのはここにある。(営業、男性、ISSリアライズ)」
「自己成長につながるコンテンツは非常に多くあり、スキマ時間を用いて自己研鑽に勤しむことができる。キャリア開発についても、部署間の人材交流が多く行われており、公募制度などもある。自分が目指す部署やポジションにつくためにはどのようなスキルが必要なのか、どのようなことを学べば良いのかわかるようなシステムも整備されている。(営業、男性、中外製薬)」
「若手であっても自分のアイディアを発信しチャレンジできる雰囲気がある。また、新入社員研修、入社後2年間のマンツーマン研修、入社○年目研修、他部門での研修、ミドル研修など、キャリアステップにあった研修が充実しており、会社として社員の成長をきちんと考え後押ししてくれていると感じる。(事務、女性、日置電機)」
「手を挙げれば色々やらせてもらえる環境かと思います。会社の事業内容と自分のやりたいことがフィットしている人にはかなり働きやすい環境なのではと思います。業務負荷や残業時間に比べて給料も良いため、中途採用者から『ISIDから転職する理由がない』とよく耳にしました。社内の風通しはよく、自分の意見を発言しやすい環境かと思います。(コンサルタント、男性、電通総研)」


フラットな社風が特徴のメディカル業界。長く働ける環境づくりの鍵はコミュニケーションか 

TOP20の企業を業界別で見ると、医薬品・医療機器業界から4社がランクインしました。少し堅いイメージがある業界ですが、社員クチコミを見ていくとフラットで上下関係無く、コミュニケーションが取りやすい風土であることがわかります。 

 一般的に、企業の退職理由の上位に「人間関係」がよく挙げられますが、どんなことも相談しやすい「風通しの良さ」が人間関係を円滑にし、長く働くモチベーションを高める鍵なのかもしれません。 


TOP20の医薬品・医療機器業界の社員がOpenWorkに投稿した、組織風土に関するクチコミ

 「フラットな組織で部署しだいでは若手でも比較的自由な活動ができる。チャレンジを歓迎しており業務量を意識しないタイプならば充実した環境と言える。(研究、男性、中外製薬)」
「とにかくアクティブな会社なので、どんどん改善に向けて変わっていく。風通しは良く上長と部下の距離感も近いため何かあったら定期的に相談しやすい環境。(安全性情報管理職、女性、第一三共)」
「多角的な経営で一つの事業が傾いても他の事業が支えてくれる安心感がある。しかし事業部間でシナジーを持たせるような様子はなく、各部署で各業務を淡々とこなす文化。社内の風通しは非常にいい。特に『さん付け文化』はとても有難く、相談事もしやすい環境にある。(研究開発、男性、旭化成メディカル)」
「上司や同僚に対する素直は発言を促進するスピークアップ文化はここ数年でかなり定着しており、上司に対しても素直に発言できる環境は整っていると考える。入社年数が浅くとも、先輩、同僚とは何事も相談できる環境はあると考える。ただ、現在はオフィスがなく基本的には電話、もしくはウェブでのコミュニケーションとなる為、新入社員の方々は配属後少し戸惑う事もあると考える。(営業、男性、ファイザー)」


対象データ

OpenWorkに会社評価レポートの投稿がある企業のうち、回答者の平均勤続年数(回答時点)が7年以上の企業に限定して集計。ネットプロモータースコア(NPS)は、2019年以降に投稿された20代・30代の社員による会社評価レポート350,514件を対象とした。 

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