「新卒入社」vs「中途入社」 働きやすさギャップに関する調査レポート(vol.6)

要旨:

  • 全般的に「新卒入社」社員は、「中途入社」社員よりも会社への評価が高い
  • 「新卒入社」社員は、年齢とともに会社への評価が高くなり、「中途入社」社員は、年齢とともに会社への評価が低くなる
  • 「新卒入社」社員からの評価が最も高い企業は「ボストンコンサルティンググループ」と「三春情報センター」、「中途入社」社員からの評価が最も高い企業は「経営共創基盤」

今回の調査レポートでは、「Vorkers(現:OpenWork)」に投稿された20歳から54歳までの約7 万5,929件人の在籍企業の評価レポートから、「入社形態」による「働きやすさ」の違いを調査するため、「新卒入社」と「中途入社」で回答者を分類し、それぞれの会社への評価点を集計・比較しました。対象データは、Vorkers(現:OpenWork)の8つの評価項目の中から「風通しの良さ」、「社員の相互尊重」、「人事評価の適正感」の3つを選択しています。


※8つの評価項目:「待遇の満足度」、「社員の士気」、「風通しの良さ」、「社員の相互尊重」、「20代の成長環境」、「人材の長期育成」、「法令順守意識」、「人事評価の適正感」


従来、日本企業の多くは新卒採用を重視してきており、現在でも大手企業を中心に新卒一括採用が主流となっている傾向は変わっていません。このような環境の中、中途採用で入社した社員の中には、社内の人間関係をはじめとして、新卒採用で入社した社員とのギャップを感じる人も多いようです。


また、安倍政権の成長戦略の一つとして「雇用の流動化」に注目が集まる昨今、産業構造の変化に日本社会が適応するためにも、中途採用での人材活用を強みとする企業が増えていくことが必要です。「新卒入社」社員と「中途入社」社員による会社への評価ギャップを知ることで、今後の日本企業の組織マネジメントの参考になればと考えています。


「新卒入社」「中途入社」別、会社への評価ギャップと各評価指標の世代推移

「新卒入社」は、「中途入社」よりも会社への評価が高い

「新卒入社」社員は年齢とともに会社への評価が高くなり、「中途入社」社員は年齢とともに会社への評価が低くなることが分かります。最も差が開くのが「45~49歳」の世代となっています。


「新卒入社」社員からの評価が最も高い企業は「ボストンコンサルティンググループ」と「三春情報センター」

評価点 … 「風通しの良さ」と「社員の相互尊重」と「人事評価の適正感」の平均値(それぞれ5段階評価)

※ランキングの評価点・クチコミ件数などは投稿によって変動するため、「Vorkers(現:OpenWork)」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。


「新卒入社」社員のランキングでは、「ボストンコンサルティンググループ」と「三春情報センター」が同点で1位となりました。


「ボストンコンサルティンググループ」は、グローバルに展開する戦略系コンサルティングファームですが、Vorkers(現:OpenWork)に寄せられた社員クチコミでは「組織はフラットで、パートナーからアソシエイトまで会話しやすい雰囲気」「新卒用のジョブを通じて実際の雰囲気を掴むことができた」など、「新卒入社」社員にとって、仕事面でも、組織面でもとけ込みやすい環境があることが分かります。


「三春情報センター」は、横浜・横須賀・鎌倉地域に密着した不動産の売買・賃貸仲介事業などを展開している企業です。Vorkers(現:OpenWork)に「新卒入社」社員から寄せられたクチコミを見ると、「社員の成長に着目している会社」「社風がオープンでフランクであった」など、なじみやすい社風と、成長できる環境が評価されていることが分かります。

3位には経営コンサルティングの「コーポレイト ディレクション」そして、4位に「スターバックス コーヒー ジャパン」と続いています。


「中途入社」からの評価が最も高い企業は「経営共創基盤」

評価点 … 「風通しの良さ」と「社員の相互尊重」と「人事評価の適正感」の平均値(それぞれ5段階評価)

※ランキングの評価点・クチコミ件数などは投稿によって変動するため、「Vorkers(現:OpenWork)」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。


「中途入社」の評価ランキングの1位は「経営共創基盤」。産業再生機構のCOOを務めた冨山和彦氏が率いるコンサルティング会社です。同社は、中途採用が多く、Vorkers(現:OpenWork)に寄せられた社員クチコミによると「多様なバックグラウンドを持つ人材の集まりであるため、非常に風通しがよく、個々の社員を尊重する風土がある」「パートナーとの距離感についても近く、社長を含めてふらっと議論ができる関係になっている」といったコメントが寄せられています。


2位の「アシスト」は、マスコミにもしばしば登場していた現会長のビル・トッテン氏が設立したソフトウェアの販売、コンサルティングを手掛ける会社です。Vorkers(現:OpenWork)に「中途採用」社員から寄せられたクチコミによると「社員の自主性を重んじた行動スタイルを取る。」「社員は思ったことやアイデアを気にせずどんどんアピールできる風土」など、「中途入社」社員でも主体的に活躍できる土壌があることが分かります。


同点2位の「アライアンス・パートナーズ」は、企業の不動産、財務・金融等についてのアドバイスを行う会社です。Vorkers(現:OpenWork)に寄せられた社員クチコミによると「厳しい一面もありましたが、間違いなく社会人として成長できる環境だったと思います」「頑張った分だけ評価される人事制度なので、モチベーションは高まります」など、成長できる環境があることが分かります。


4位には「グーグル」、そして5位には「生活協同組合コープみらい」が続いています。


データの集計について

データの収集方法

「Vorkers(現:OpenWork)」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。

会社評価レポートの回答条件は下記のとおりです。

  • 社員として1年以上在籍した企業の情報であること
  • 500文字以上の自由記述項目と、8つの選択項目に回答いただくこと

8つの選択項目は、下記内容に対する5段階評価となります。

  • 待遇面の満足度(待遇面全般についての満足度)
  • 社員の士気(仕事に対する社内の士気について)
  • 風通しの良さ(社内の風通しについて自由に意見が言えたか)
  • 社員の相互尊重(社員同士がお互いを尊重し合う、チームワーク意識について)
  • 20代成長環境(20代が鍛えられる、成長できる就業環境について)
  • 人材の長期育成(採用した人材を30代、40代、50代と長期に育成してゆく方針について)
  • 人事評価の適正感(実力のある社員が適正に評価され昇進しているか)
  • 法令順守意識(社内の法令順守意識について)

対象データ

2007年7月~2014年8月に、社員・元社員から投稿されたレポート回答のうち、レポート提出時に20歳~54歳までのデータ(全75,929件)を対象データとしています。

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働きがい研究所

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