1位は裁判所。三井住友グループ、NTTグループが多数ランキング
要旨:
- 1位に裁判所がランクイン
- トップ30に住友及び三井住友グループ企業が5社ランクイン
- トップ30にNTTグループ企業4社がランクイン
- 業界別ランキングは官公庁が1位。上位に金融系が多数ランクイン。下位はマスコミ、飲食業界
粉飾決算、排ガス不正、不正建築と、大企業の不祥事が世の中を騒がせた今年、企業のコンプライアンス意識が改めて問われています。今回の調査レポートでは、Vorkers(現:OpenWork)に寄せられた社員クチコミから「法令順守意識」の評価スコアを集計し、「法令順守意識が高い企業ランキング」を作成しました。法令順守意識が高い企業の特徴と、そこで働く社員の意識をクチコミから考察しています。併せて、業界別の法令順守意識ランキングも発表しました。
Photo By Topgun1997 [CC BY-SA 3.0]
裁判所が1位!法令順守意識が高い企業ランキング
※ランキングの評価点・クチコミ件数などは集計時点の数値となるため、「Vorkers(現:OpenWork)」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。
司法機関として当然の結果!?裁判所の法令順守意識
法令順守意識の高さにおいて1位にランクインしたのは、「裁判所」という結果になりました。Vorkers(現:OpenWork)に寄せられたクチコミを見ても、職員の意識の高さがうかがえます。
「司法権を担う国家機関ということもあり、当然ながら法令順守に対する意識は非常に高い。(書記官、女性)」
「組織の特性上当然であるが、コンプライアンス意識が非常に高い職場である。外部から見ればお役所的と言われる部分でもあるが、すべての事務処理が法に則っていなければならないという意識が浸透しており、ある事務処理の法的根拠が明らかでないときには、数人が集まって議論することも少なくない。(書記官、男性)」
「企業文化としては、法令遵守意識が非常に強く、前例踏襲主義であるが、服装やビジネスマナーなどそれ以外の面は基本的にあまりうるさくない。(事務官、男性)」
法令順守意識の評価スコアが高いことからも、一見非常に「堅い」印象を持ちますが、裁判所は「社員の相互尊重」においても評価が高く、コンプライアンスとチームワークを両立している組織といえます。
「チームワークが非常に良い。新しい課題が発生したら全員で知恵を出し合って問題解決する風土があります。チームワークの中には当然裁判官も含まれます。職種を越えてチームワークが非常に良いです。(書記官、男性)」
「住友」「三井住友」と「NTT」に見られる子会社への意識徹底
トップ30の企業を見ると、同率1位に住友商事の子会社である「住友商事フィナンシャルマネジメント」、また、三井住友銀行の子会社である「三井住友カード株式会社(5位)」、「三井住友ファイナンス&リース株式会社(17位)」、「SMBCセンターサービス株式会社(18位)」、「SMBCコンシューマーファイナンス(20位)」と、住友及び三井住友グループ企業が多くランクインしました。同様に、「ドコモ・サポート(5位)」、「NTTコム エンジニアリング(13位)」、「NTTドコモ(15位)」、「日本電信電話(NTT)(23位)」と、NTTグループも多くランクインしています。
各社クチコミを見ると、いずれも「親会社に準じた組織体制、文化」といったクチコミが多く、親会社の法令順守意識を見ても、住友商事、三井住友銀行、NTT全てで4点を超える高いスコアです。各親会社の法令順守意識の高さは、自社のみならず「子会社へのコンプライアンス徹底」まで含んでいることがわかります。
また、コールセンターや事務対応などオペレーション関連の会社が多く、業務のマニュアル化によって勤務管理がしやすいことも特徴として見られます。
- 住友グループ
「基本的に、親会社である住友商事に準じており、住友商事の一部門のような形。大企業の一部という意識が高いため(親会社からの出向者も多い)、法令順守等には厳しい。(住友商事フィナンシャルマネジメント、女性)」
- 三井住友グループ
「上層部は銀行からの出向者で占められており、銀行の文化が浸透しています。そういう意味ではコンプライアンスはじめ企業運営は極めて手堅く非の打ちどころがありません。(三井住友カード、男性)」
「メガバンクの100%出資子会社ということでルールや規則がきっちり定められており、守る必要がある。(SMBCセンターサービス、女性)」
「法令遵守が徹底されており、ほとんどすべての業務に関して、高度にマニュアル化されている。(SMBCコンシューマーファイナンス、男性)」
- NTTグループ
「大企業だけあって、研修体制・コンプライアンス教育がしっかりしています。マニュアルも手間暇かけて作成している様子がうかがえました。(ドコモサポート、男性)」
「コンプライアンスには気にしすぎているくらいであり、それに束縛されている印象ですらある。(NTTドコモ、男性)」
「典型的な日本企業。コンプライアンス遵守に厳しく、管理職になるまでは残業時間を徹底的に管理される。(NTT、女性)」
業界別:法令順守ランキング
業界別の法令順守意識ランキングでは、企業ランキング1位の裁判所を含む「官公庁、独立行政法人」が1位となる結果になりました。2位「銀行、信金」、3位「クレジット、信販、リース」、4位「生命保険、損害保険」、6位「証券会社、投資ファンド、投資関連」と、上位に金融業界が多くランクインしています。
逆に、下位には26位に「放送、出版、新聞、映像、音響」、30位に「広告代理店、PR、SP、デザイン」と、長時間労働が多いマスコミ業界が見られます。そのほか、塾講師の労働環境悪化等が問題となっている「教育、研修サービス(26位)」、人材不足がうたわれている「理容、美容、エステティック(28位)」、「フードサービス、飲食(29位)」が見られました。
データの集計について
データの収集方法
「Vorkers(現:OpenWork)」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。
会社評価レポートの回答条件は下記のとおりです。
- 社員として1年以上在籍した企業の情報であること
- 500文字以上の自由記述項目と、8つの選択項目に回答いただくこと
以下の2つのデータについても収集しています。
- 月間残業時間(実数)
- 有休取得率(実数)
対象データ
Vorkers(現:OpenWork)に投稿された会社評価レポートのうち、レポート回答者数が10人以上ある企業2,332社のレポート回答87,157件を対象データとしています。業界ランキングは集計時点までの全レポート回答が対象。(レポート回答集計期間:2007年7月~2015年11月)
0コメント