この5年間で社員評価が上がった企業ランキング(vol.103)

総合評価スコアが上昇した、ランクイン企業の特徴・共通点とは?


要旨:

  • 1位にモデュレックス、2位にゴルフダイジェスト・オンライン、3位に太陽有限責任監査法人がランクイン
  • ソフト面・ハード面における企業改革が社員からの企業評価スコアの向上につながる傾向

2017年3月の「働き方改革実行計画」から5年以上が経ち、長時間労働の是正や年次有給休暇の取得義務、同一労働同一賃金といった法改正を通じ、労働環境や働き方への意識は年々高まりつつあります。実際、この10年間で日本の平均残業時間は46時間から24時間に、有給休暇消化率は41%から60%へと、働き方改革によって「働きやすさ」は改善されていきました(※)。


その一方で、日本の労働市場は依然として、生産年齢人口の減少や国際的な競争力の低下といった問題に直面しており、岸田政権では、「人への投資」の一環で、今後5年間で1兆円を「リスキリング」支援に投じることで成長産業への円滑な労働移動、持続的な賃上げ・生産性の向上につなげようとしています。個々人の価値や能力を引き出すことで成果を最大化させる企業経営は、今後ますます求められると言えます。


今回の調査レポートでは、2017年から2022年までの5年間で総合評価スコアが上昇した、つまり社員からの評価の上がった企業をランキングしました。OpenWorkに寄せられた、ランクイン企業で実際に働く社員の声も併せてご紹介します。

(※)オープンワーク発表「日本の働き方10年での変化 社員クチコミ白書」より


この5年間で社員評価が上がった企業ランキング

スコア上昇度1位は照明器具のモデュレックス。機器関連系メーカーや不動産関連企業、コンサルティング会社など、業界業種を問わずランクイン

2017年からの総合評価スコアの経年変化を分析した今回の調査レポート。スコア上昇度1位は主に照明器具を製造・販売するモデュレックス、2位にゴルフポータルサイトを運営するゴルフダイジェスト・オンライン、3位に太陽有限責任監査法人という結果となりました。全面的に各スコアを改善させた企業も多いですが、中でも「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」のスコアが改善した企業が多く見受けられました。実際に社員クチコミでも「高いマインドや士気持つ人が多い」「コミュニケーションが取りやすい」「主体性があれば若手も手を挙げられる」といった声が見られ、心理的安全性の高い組織文化であることがうかがえます。


また、ランキング全体を見渡すと、機器関連系メーカーや不動産関連企業、コンサルティング会社やSler・インターネットサービス企業など、各種様々な業種の企業がランクインしました。


「企業としてのミッション、そして、製品ブランドとしてのビジョンがそれぞれ明確に定められており、wayに基づく組織経営・運営がなされている。社長がオーナーも兼ねている企業ではあるが、個人商店ではなく、自治自立した組織体の集まりという体制基盤が年々強固になってきている。(事務、女性、モデュレックス)」


「どの部署もとても高いマインドを持って働いている会社と言える。営業はクライアントの課題解決の存在として、自身も強い気持ちを持って働けていると思う。他の人を見ても、風通しもよく、年齢が若い方が多い会社なだけあり活気に溢れている。(営業、男性、ゴルフダイジェスト・オンライン)」


「自由な雰囲気があり、自身の成長を自身で考えながらキャリアを作っていく人にとっては色々なチャンスをつかみやすく、また、後押ししてくれる文化があるため、向いている監査法人だと思う。一方、人に指示をされたことをこなしていく事で成長するタイプには向いていない法人ではないかと感じました。(監査、男性、太陽有限責任監査法人)」


「知的で努力家の方が多く、何事も真面目に取り組む文化であると思います。良い意味で手堅いところがあり、勢いに任せて突き進むようなことは少なく、きちんと考えてから仕事を進めていく人が多いと思います。また、経営者も私利私欲ではなく、人の可能性を切り拓くという志を持って創業した会社であり、今も現実的な課題に向き合いつつも志はぶれていないので、ミッション・ビジョンに本気で共感できる人なら社風に合うと思います。(教育研修事業部、男性、アルー)」


「良くも悪くもベンチャーの風土を感じる文化である。風通しが良く、新卒でも声を上げれば努力次第でチャレンジさせてもらえる環境はある。社員同士のコミュニケーションについても良好。所謂年功序列の会社とは全く正反対で、若手社員の活躍機会も大いに与えられている。(ITコンサルタント、男性、バーチャレクス・コンサルティング)」


実際に働いた社員による評価が改善した、企業改革の2パターン

ランクインした各社のスコアの変遷や投稿された社員クチコミを見ていくと、企業が取り組んだ改革は大きく2つのパターンに分かれました。


パターン1:「ハード面改善企業」

「残業時間(月間)」 や「有給休暇消化率」「待遇面の満足度」 など、数字にすることができ、目に見えて改善がわかるハード面の改善に着手した企業は総合評価がアップする傾向にありました。もともと業務負荷が大きい職種・業種だった企業が働き方改革に取り組んだり、人事制度の見直しによる報酬面の改善を進めたりした結果、総合評価の改善につながったと言えそうです。


「産休、育休はもちろんのこと、復職後の時短勤務制度や、働き方を選べる制度の導入も直近でなされたばかりで、制度自体の柔軟さがある。家族を大事にしている人が多い会社である為、上席や同僚の理解も得られやすいアットホーム感がある。又、実力主義ということもあり、性別に関係なく、結果を出す人にはキャリアアップの道が自ずと開かれる点において、平等さもあると思う。(事務、女性、モデュレックス)」


「常に組織として良くなろうとする取り組みがあるかと思います。意識や環境の醸成に関して、グローバルからも様々なアクティビティが課されたり、ローカルでも動きがあります。例えば、多様性(Diversity & Inclusion)関連でしたり、給与の競争的な設定改定、評価制度など、変化・前進しようとする動きがよく見られます。(コンサルタント、女性、EYストラテジー・アンド・コンサルティング)」


「近年は働き方改革やリモートワークに積極的に挑戦し、社内システム面を中心に大きく変革しており、個人個人の働きやすい環境づくりに努めている(プロパティマネージャー、男性、三菱地所プロパティマネジメント)」


パターン2:「ソフト面改善企業」

「20代成長環境」や「社員の相互尊重」「風通しの良さ」 といった、いわゆる数字・実績では表れにくい、ソフト面の改善に着手した企業も、総合評価がアップする傾向にありました。 コロナ禍においてコミュニケーション上の課題や人材育成面の課題にぶつかる企業も多かった中、ソフト面を改善できたことは、社員からの企業の評価として成果につながったようです。


「中途採用が多く色々な業界出身者が多いですが、ベンチャーのガツガツという雰囲気はあまりなく、人当りよく優しい人が多いように思います。そのため、わからないことは質問しやすく、丁寧に回答してもらえます。また、ゴルフという共通点もあるため、ゴルフの話で盛り上がったりと、部門や上下を超えて交流があるため、社内の雰囲気は比較的和やかです。(営業、女性、ゴルフダイジェスト・オンライン)」


「抱えている問題に対して柔軟に対応しようと言う姿勢が会社全体としてある。業務の垣根がないぶん出来る人に業務が偏る傾向がある。成長意欲の高い若い社員が多いからか、転職等で人の出入りが多いが社風の影響か業務上意見がぶつかる事はあっても「フィッツは人がいい」と多くの社員から声が上がるほど人間関係でストレスを感じる人は少ないように感じる。(マーケティング、女性、フィッツコーポレーション)」


「トップダウンというより、ボトムアップ。上司、先輩、同僚、同期、後輩がいい感じに機能しているチームワークは良い。働かない人は一定数居るが、総じて働く意欲が高く人事制度も良い方に改善されている。(事業企画、男性、東急不動産)」


【本ランキング掲載書籍のご紹介】

「この5年間で社員評価が上がった企業ランキング」は、書籍「1300万件のクチコミでわかった超優良企業」に掲載されている「総合評価の改善度が高いトップ20社」より一部抜粋したものとなります。書籍では、1300万件以上の社員クチコミと評価スコアデータを通じ、本ランキングの他にも、「30代年収アップ幅が大きいトップ20社」や「未上場の日系企業から選ぶトップ20社」といった全19の企業ランキングを掲載。就職・転職、投資、経営の新バイブルとして役立つ一冊です。

書籍名:「1300万件のクチコミでわかった超優良企業」

著者名:大澤陽樹(オープンワーク株式会社 代表取締役社長)

発行元:東洋経済新報社発売日:2023年1月13日


データの集計について

集計期間中(2007年7月〜2022年3月)にOpenWorkに投稿された企業で、一定数の投稿が集まった企業をランキング対象としています。ランキングの評価点・クチコミ件数などは集計時点の数値となるため、「OpenWork」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。

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