退職者から評価の高い企業の特徴は「卒業前提」
要旨:
- 1位はマッキンゼー・アンド・カンパニー、2位はリクルートマネジメントソリューションズ、3位はスカイライト コンサルティングという結果に
- トップ10のうち、6社は外資系企業、4社はコンサルティング会社
- トップ30内にリクルートグループから4社がランクイン
終身雇用制度は過去のものとなった今、転職という選択がより一般化されてきたこともあり、転職希望者数は増加傾向(※1)です。厚生労働省が発表した「労働経済白書」では、転職で希望の職に就いたり、自分が望むキャリアをかなえる重要な要素として「キャリアコンサルティング等を通じた主体的なキャリア形成の意識付けや、自己啓発によるスキルの向上等」を挙げており(※2)、転職を通じて自身が希望する条件やキャリアを得るには、会社から与えられる環境に依存せず自律的にスキルや経験を磨く姿勢・リスキリングが一層求められると言えそうです。
今回の調査レポートでは、OpenWorkに投稿された社員クチコミのうち「退職者」による評価に限定し、「退職者からの評価が高い企業」を集計しました。退職者が「良い会社だった」とポジティブに評価をする企業はどのような特徴があるのでしょうか。OpenWorkに寄せられた社員の声を見ていきます。
(※1)総務省「労働力調査」雇用形態別転職等希望者数(非農林業雇用者)より
(※2)厚生労働省「令和4年版 労働経済の分析」(労働経済白書)より
退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング2022」
※ランキングの評価点・クチコミ件数などは集計時点の数値となるため、「OpenWork」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。
退職理由は"挑戦" 外資系&コンサルティングがトップ10を占める理由
退職者が高く評価している企業を集計した今回、1位はマッキンゼー・アンド・カンパニーとなりました。トップ10を見渡すと、その半数以上は外資系企業、トップ10のうち4社はコンサルティング会社という結果になりました。「退職検討理由」のクチコミを見ると、外資系企業やコンサルティング会社は共通して「自身の次のステージに進むため」「十分育ててもらった」「オファーをもらったから」と言ったポジティブな声が見られたのが特徴でした。不満による退職ではなく、あくまで次の挑戦が控えている上での退職を決断できた場合、前職で得られたスキルや経験を振り返って「良い会社だった」という高評価につながるようです。
「もともと長く居続けるつもりではなかったし、身につけたスキルや経験からして、ネクストステージに進めると感じたから(コンサルタント、男性、マッキンゼー・アンド・カンパニー)」
「辞める気はなかったが、事業会社から魅力的なオファーがあったことが退職理由(コンサルタント、男性、スカイライト コンサルティング)」
「事業開発に携わりたいと感じたためです。戦略立案に加えてその後の運営も円滑に進め、市場において付加価値の大きなプロダクトを世の中に上市してみたいと思いました。(コンサルタント、男性、アーサー・ディ・リトル・ジャパン)」
「会社全体がアップ オア アウト のカルチャーなので辞めること自体が割と当たり前です。みんな、ある程度学んだら外に出て活躍を広げるという考えの人がほとんどです。それなので辞め時を考えながら勤務している感じです。(マーケティング、女性、P&Gジャパン)」
ランキング上位の日系企業は「風通しの良さ」「社員の相互尊重」が高スコア
ランキングの上位に入った日系企業のスコアを詳しく見てみると、共通して「風通しの良さ」「社員の相互尊重」のスコアが高い傾向にありました。退職者の社員クチコミを覗いてみると、チームワークを重んじる風土や自由闊達で挑戦を応援する文化を挙げる声がありました。待遇や人事制度、業務フローといったシステム・機能面が評価されやすい外資系企業やコンサルティング会社と比較し、日系企業では、人間関係や結束力など心理的安全性が退職者からの高評価に繋がりやすいのかもしれません。
「風通しが良く、自由闊達に意見交換できる文化がある。常に改善しようと様々な取り組みがなされており、現状に甘んじない姿勢がある。(特許審査部、男性、特許庁)」
「やってみなはれの文化が根付いており、多くの社員が愛社精神に溢れている。温かい人も多い。これがこの会社の強みだと思う。やる気があれば挑戦させてもらえる風土がある。また、人付き合いはかなりウェットで飲み会も多いので、合う合わないはあると思う。(マーケティング、女性、サントリーホールディングス)」
「成果主義。年齢や性別に関係なく、努力し、成果を出した人が報われる環境。外資系の様にクビを切る環境はないが、成果で是々非々の判断が下る。マネージャー陣は非常に優秀な方々が多くオペレーションや法令順守のマインドは高い。また顧客第一主義の観点、チームワークを駆使して活動する文化は、多くの企業の中でも類を見ない様な環境で素晴らしいものであった。(新規開拓営業、男性、顧問名鑑)」
リクルートグループが4社ランクイン!「元リク」が評価するその企業文化とは
ランキング2位のリクルートマネジメントソリューションズを含め、リクルートのグループ会社が合計で4社ランクインしました。日系企業の“卒業”文化の先駆けであるリクルートグループは多くの起業家を輩出していることから、リクルート出身者は「元リク」とも呼ばれています。「組織文化・企業文化」のクチコミを覗いてみると、手厚いサポートや協力を惜しまない環境、キャリア早期から社員一人ひとりの「個」を尊重し、上司が部下に「お前はどうしたい?」と自律を促す企業文化がうかがえました。
「風通しがよく、頑張る気持ちのある人には、自然と様々な部門の人が最大限力を貸してくれます。前向きな挑戦を歓迎し、助力を惜しまない会社です。男女の性差もほとんどなく活躍できます。失敗を恐れず、挑戦することができます。失敗から学ぶことを重視、許容してくれる懐の深い会社です。チーム全体でサポートしてくれます。一方で、主体的な意志がない人には、非常に厳しい環境かもしれません。周囲からのサポートや助言はありますが、自身で目標設定し、そのために自己マネジメントをできる人にとっては、最高の成長環境だと思います。(営業、女性、リクルートマネジメントソリューションズ)」
「リクルート社特有の『お前はどうしたいんだ?』という自主自立を重んじた企業文化である。従って常に自分が仕事のオーナーやプロデューサーであり続ける覚悟が必要である。また自己研鑽を常に心がけていないと置いていけぼりになってしまう事もある。(ソリューション営業部、男性、リクルートマネジメントソリューションズ)」
「やる気のある人が多い企業の印象です。女性の比率が多いが、変な派閥などなくフラットに各自が自分の仕事にまい進していた。組織もリクルートの子会社なので仕組みがしっかりしており、かぎりなくホワイトに近い会社だと思います。北海道の基幹産業である観光に対して、インパクトがある事業だと思うので本人のやる気次第で、仕事の幅を広げることができ、成長にもつながるという点では非常に良い会社だと思います。(営業、女性、リクルート北海道じゃらん)」
「『あなたは何をしたいの?』という質問が良く飛び交う文化。企業利益を追求するのは当然だが、個人が個の力を発揮することで実績を作り上げていくことを重視していると感じた。(営業、男性、リクルート)」
対象データ
2019年以降OpenWorkに退職者からの投稿が10件以上ある4,272社132,609件のクチコミを対象データとしています。
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