社員クチコミによるリアルな残業時間から「時給」を算出。時給8,000円を超える企業とは?
要旨:
- 1位はM&Aキャピタルパートナーズの8,810円
- トップ3はM&Aキャピタルパートナーズ、ヒューリック、三菱商事
- トップ10に総合商社が4社ランクイン(三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事)
- トップ30のうち20社以上が時給5,000円超え
- トップ30の平均時給は5,755円
今回の調査レポートでは、上場企業の有価証券報告書とOpenWorkに投稿された残業時間データから、企業による公開情報だけでは知ることが難しい、残業時間も含めた労働時間による「時給」を算出しました。
時給算出方法
「時給」は、有価証券報告書による平均年収を、各社の標準労働時間及びOpenWorkに投稿されている平均残業時間(月間)から算出した年間勤務時間で割った金額となります。
上場企業の時給ランキング2022
※ランキングの評価点・クチコミ件数などは集計時点の数値となるため、「OpenWork」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。
時給8,810円!平均年収2000万円超のM&Aキャピタルパートナーズ
今回の時給ランキングで1位になったのは、中堅・中小企業を対象にM&A仲介事業を行うM&Aキャピタルパートナーズでした。高まる事業承継の需要から、業績を拡大しています。所定労働時間が長めの8時間であることに加え、平均残業時間が94.3時間とトップ30の中で最も多いにもかかわらず、2000万円超えの高い平均年収によって時給でも1位となりました。社員クチコミを見ると、給与は成約率に準じており、売り上げによってかなりの差があることがわかります。
「年収3000万円。賞与は殆どが売上に比例する。その計算方法も明確であるため、自分の賞与額がどれくらいになるかも概ね計算できる。売り上げの配分は、案件当事者以外の者も売上配分の決定プロセスに関与するため、公平性・納得性のある売上配分が行われる。サポートした人間(上司)より、案件開拓した人間(部下)が評価される風土である。数年経てば、一人で案件を仕上げられるようになるため、売上の大半が自身に配分される。(コンサルタント、男性、M&Aキャピタルパートナーズ)」
「年収4200万円:基本給(月)40万円、賞与(年)3000万円。営業活動がすべてで、案件をより多く成約させれば年齢に関わらず数千万以上の高収入が可能。競合他社と比べると営業ができなかった時の風当たりは強くないように感じるが、周りとの収入の差が歴然なのでプレッシャーは感じる。(営業、男性、M&Aキャピタルパートナーズ)」
「年収600万円:基本給(月)35万円、賞与(年)180万円。給与制度は、成約がゼロの場合は420万円ほど。あとはチームや個人での成約率に準じて。評価制度はよくもわるくも成約率が全て。ここについては徹底している。(M&Aアドバイザー、男性、M&Aキャピタルパートナーズ)」
平均時給5,755円。社員クチコミから見る高時給企業の給与事情
「年収950万円:基本給(月)35万円、残業代(月)15万円、賞与(年)350万円。新卒社員は10年程度横並びで昇級・昇格している。個人のパフォーマンスはほとんど影響しない。収入に関してはベースよりもボーナスに偏っており、若手に関しては40%前後をボーナスが締めている。部署によってボーナスに若干の差があるが大きな差はない。(不動産、男性、ヒューリック)」
「年収1300万円。総合職は新卒入社するとスタッフ職からスタートし、ほぼ同年代同時期に管理職(プロフェッショナル職)になれる。管理職になった段階で給与は月給、賞与は1.5倍くらいに上がる。賞与は年二回支給で、夏のボーナスは基本賞与に加えて業績連動ボーナス、個人の成績加算金が加算される。後者二つによるボーナスの個人差は大きい。(マネージャー、女性、三菱商事)」
「年収1500万円。ボーナスの割合が高く、さらに個人の成績によりボーナス金額が変わる傾向にある。30歳を前にして年収は1000万円を超える。最近は株式報酬制度なども充実し始めており、実際の収入ベースではプラスアルファで50-100万円程度の影響があるのが実態だと思われる。(営業、男性、伊藤忠商事)」
「年収1700万円:基本給(月)100万円、賞与(年)500万円。全般に高いが、ボーナスは所属部門の組織業績により年収200万円程度の差はつく。また、海外赴任期間中は別途高額手当があり、地域によっては交通費や子女教育費も会社負担なので個人の持ち出しはほぼ無いケースもある。(マネージャー、男性、三井物産)」
「年収2000万円。基本給は少ないが、毎月業績給と年4回のボーナスがあり、全体としてはかなりの額になる。人事考課によって±10%くらいは変わるが、会社の利益増減による業績給の振れ幅の方が大きいため、人事考課のことは全然気にならなくなる。(開発、男性、キーエンス)」
「年収1500万円。年功序列が色濃く残っているが、真面目に取り組んで貰えば評価をしてもらえる。いち早く成長したい人には向かないが、コツコツタイプの人には向いている。(基幹職、女性、住友商事)」
「年収1200万円。給与は基本的に年功序列。賞与は長期安定支給を基本としており、おおよそ給与の8ヶ月分。(総合職、男性、三菱地所)」
「年収1200万円。完全な年功序列である。給与以外の手当も多く、待遇には満足している。評価制度は定性評価であり、評価の軸がいまいちわからないところがある。評価の違いがどのように給与やボーナスに反映されているかもわかりづらい。(主事、女性、三井不動産)」
「年収1300万円:基本給(月)50万円、賞与(年)700万円。年俸ベースで、当初1年間は前職給料を踏襲し支給されるが、基本的には年俸500万~700万程度。役職によって月収ベースはアップ。あくまでもインセンティブがキー。(アドバイザリー、男性、ストライク)」
データの集計について
データの収集方法
「OpenWork」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。
会社評価レポートの回答条件:
- 社員として1年以上在籍した企業の情報であること
- 500文字以上の自由記述
- 8つの評価項目および月間残業時間、有休消化率への回答
対象データ(集計期間:2019年1月~2022年7月)
集計期間内にOpenWorkへのレポート回答が5件以上ある上場企業1953社を対象とし、有価証券報告書に記載されている平均年収データ(2020年度)と、各社の月間標準労働時間(標準労働時間×20日として集計)及びOpenWorkに投稿されている「平均残業時間(月間)」から「時給」を算出しました。標準労働時間は各企業採用情報等を確認し、職種・勤務地により異なる場合は代表的な職種または本社の労働時間を採用しています。時給は小数点以下四捨五入、平均年収は万円単位で掲載しています。純粋持株会社はランキングから除いています。
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