退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング2020」(vol.76)

退職ではなくて卒業。退職者から評価が高い会社の特徴は


要旨:

  • 1位はマッキンゼー・アンド・カンパニー、2位はグーグル、3位はP&Gという結果に
  • トップ10の内7社が外資系企業

就職した会社で「勤め上げる」文化はもはや過去のものとなり、今や転職は若い世代を中心に活発に行われています。転職に対する考え方も「前向きな行動である」と考える人が増えており(※)、会社を辞めることは珍しいことではなくなりました。


今回の調査レポートでは、OpenWorkに投稿された社員クチコミのうち「退職者」による評価に限定し、「退職者からの評価が高い企業」を集計しました。辞めることを選択したけれども良い会社だった、退職者からそう評価される企業にはどのような特徴があるのでしょうか。OpenWork「退職検討理由」に寄せられた社員の声を見ていきます。

※ マイナビ 転職動向調査2020年版より。転職に関する考え方として「転職は前向きな行動である」と回答した割合は68.3%(調査以来最多)


退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング2020」

※ランキングの評価点・クチコミ件数などは集計時点の数値となるため、「OpenWork」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。


1位はマッキンゼー。「マッキンゼー・マフィア」入りまで見据えるキャリア設計

今回、退職者から高い評価を得ている企業として1位にランクインしたのは、世界的コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーでした。マッキンゼーは、出身者に著名な起業家や経営者が多いことでも知られています。マッキンゼーの「元社員」の退職検討理由クチコミからも、退職後に活躍しているOB・OGの多さから退職自体にマイナスイメージが無く、むしろ「卒業」と捉え賞賛される組織風土であることや、入社する時点で退職後のキャリアを見据えていることがわかります。


「数年間やって、ある程度初期の目標・目的は達成できたと考えたから。入社の目的が、その後の目標達成のための手段に過ぎなかったから。(コンサルタント、男性、マッキンゼー・アンド・カンパニー)」


「マッキンゼーで出世するのではなく退職後にブランドをどう活用するかが重要な会社なので社員は基本どうやめるかが重要。(コンサルタント、男性、マッキンゼー・アンド・カンパニー)」


「十分修行が済んだので。全員がいつかは卒業する前提で働いてます。転職して成功している先輩や同期を見ているので、退職にマイナスイメージはありません。パフォーマンス理由で辞めるケースもありますが、世間では思われているほど多くはないです。(コンサルタント、男性、マッキンゼー・アンド・カンパニー)」


「多くの人が卒業後のキャリアでのさらなる活躍を期して入社しているという風土があり、退職も卒業と呼ばれて賞賛されるような文化を持っている。実際に卒業後に様々な業界で活躍する人材は多く、そうした人たちがマッキンゼー・マフィアと呼ばれて大きな影響力を持っている。このアラムナイコミュニティに入れること自体が、この会社に入社することの意味の1つでもあると感じる。(コンサルタント、男性、マッキンゼー・アンド・カンパニー)」


離職率が低く、満足度の高い総合商社を辞める理由

今回のランキングでは、人材の流動性が高い外資系企業がトップ10の内7社を占める結果となりました。一方で、日系企業の中でも離職率が低い総合商社が2社ランクインしています。厚生労働省の発表(※)では、新卒就職者の入社3年目までの離職率は約3割であるのに対し、総合商社は非常に低く数%程度となっています。OpenWorkでの評価も高く「あまり辞めない」とされる総合商社の退職検討理由を見ていくと、長期雇用を前提としたキャリアパスや、配属リスク、年功序列の風土を挙げる声が見られました。

※ 厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)


「外銀、外コンなどと比べると若手の成長スピードは遅いと言わざるを得ない。新卒時は、たとえ順番が回ってくるのがかなり先になっても、大きな仕事を出来れば良いと考えていたが、大学同期など周囲では若いうちにチャンスを掴む人間が増えており、今のままで良いのか疑問に思う。(コーポレート、男性、三井物産)」


「実力のない20代前半はゆとりを持ちつつも多種多様な現場、研修、海外派遣などを通じて一気に成長すること出来るが、後半からは部署や配属によってはやれる仕事も大きく変わる為、成長機会や速度が制限されることも多々ある。自分の希望と違ったり、意義はあるが成長機会ややりがいや組織体制が限られた仕事を担当する場合は、モチベーションを保つのが難しく成長速度も限られる。(非管理職、男性、三井物産)」


「下積み期間が長く、今の若い世代とは考え方が合わない。現社長は実力主義であり若手からどんどんポストを与えたいと思っているが、ポストの需給がマッチしておらず、裁量権のある仕事をできるまでには時間がまだかかる。今後のポスト増加、実力主義の風土などの条件がそろえばそのような状況にもなるはずである。(コーポレート、男性、三菱商事)」


「安定、高待遇、ワークライフバランスを考えると、日本でもトップクラスだと思うが、ザ日本企業であるが故に年功序列や官僚組織の風土が色濃く、社内調整や上司の顔色を伺う場面が多い。(営業、男性、三菱商事)」


「社内転職制度であるチャレンジポストなどの制度はあるものの、なんだかんだ引き続き業界縦割りであり、背番号が変えづらいなど、対面する業界に変化をもたらしづらいと考えたため。事業会社への出向もポストとしての位置付けが強く、年功序列で配属されているのが実態と感じる。(営業、女性、三菱商事)」


データの集計について

データの収集方法

「OpenWork」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。

  • 社員として1年以上在籍した企業の情報であること
  • 500文字以上の自由記述項目と、8つの選択項目に回答いただくこと
  • 月間残業時間(実数)、有休消化率(実数)についても収集

対象データ(集計期間:2017年1月~2020年8月)

2017年以降OpenWorkに退職者からの投稿が10件以上ある3,976社123,557件のクチコミを対象データとしています。

会社評価レポートの回答ページを見る ≫

働きがい研究所

1,700万件以上の社員クチコミと評価スコアを持つOpenWorkが、データから「働きがい」を調査・分析するプロジェクト。質の高いデータが集まるOpenWorkだからこそ見える視点で、様々な切り口による企業ランキングや、専門家による分析レポートなどを発信しています。