残業&有休、職場環境など、去年よりも働きやすさが向上した企業は?
要旨:
- 1位はApple Japan合同会社、2位はマクロミル、3位はネオキャリアという結果に。
- 働き方改革成功の鍵は、多様な働き方と企業による強制力
今回の調査レポートでは、1年の総括として、昨年と比べて「働きやすさ」がアップした「働き方改革成功企業」を分析します。Vorkers(現:OpenWork)の評価指標の中でも、働きやすい風土を測る「風通しの良さ」「社員の相互尊重」に加え、平均残業時間と有休消化率を5段階評価に換算した数値を合算し「働きやすさ度」を算出。昨年と今年のポイント差でランキングを作成しました。
2017年はプレミアムフライデーが2月から始まり、残業時間を減らす取り組みや、リモートワークなど企業の働き方改革が進んでいます。Vorkers(現:OpenWork)全体でも2014年以降残業時間は順調に減少しており、働く環境の変化がうかがえます。その中でも1年の間に風土と環境への評価が向上している企業にはどのような共通点があるのか、今年投稿された現職社員のクチコミから探ります。
「働きやすさ度」について
今回の分析にあたって、Vorkers(現:OpenWork)では「働きやすさ度」を以下のように算出しました。2016年、2017年それぞれの働きやすさ度を比較し、2017年に評価がアップしている企業のランキングを作成しています。
「働きやすさ度」=「風通しの良さ」+「社員の相互尊重」+「平均残業時間(5段階換算)」+「有休消化率(5段階換算)」
2017年 働き方改革成功企業ランキング
※ランキングの評価点・クチコミ件数などは集計時点の数値となるため、「Vorkers(現:OpenWork)」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。
1位はApple Japan!AHAという新しい働き方
働きやすさアップ企業の1位はApple Japanという結果になりました。Vorkers(現:OpenWork)のクチコミから評価アップしたポイントを探ると、在宅勤務によるカスタマーサポート、通称AHA(At Home Advisor)社員の投稿が増えていることがわかりました。AHAは完全在宅勤務でありながらApple社員としての福利厚生も整う新しい職種で、クチコミによると「業務時間外にはネットワークには接続が許されない」等、ワークライフバランスの良さが魅力として多く挙げられています。その一方でマネージャーとしてのキャリアパスや評価も明確で、働きがいもあることがクチコミからうかがえます。
「実力主義で頑張った分だけ評価に反映されていきます。その分日本企業とは違い評価の透明性もあるので自分の力を試したい方には合っていると思います。(AHA、女性、Apple Japan合同会社)」
「女性のマネージャー職も多数います。社風から性別による差別などもないため大いに活躍できます。(在宅勤務アドバイザー、男性、Apple Japan合同会社)」
今回ランクインした企業の中にも在宅勤務制度についてのクチコミは散見され、多様な働き方実現の一環として今後環境を整備する企業も増えていくのではないでしょうか。
「自社のテクノロジーを使った在宅勤務やリモートワークが推奨されており、プライベートとのバランスは非常にとりやすい。有給休暇も全く問題なく取得可能である。ワークライフバランスにおいては、この会社にいる限りは文句のつけようがない。(システムズエンジニア、男性、シスコシステムズ合同会社)」
「ワークライフバランスは、会社として推進しており在宅勤務、サテライト、時間休など制度が充実している。在宅勤務は週1回実施しているなど活用している人は多い。家族の看病などで出勤できない時など活用できるため、プライベートと仕事を両立することがしやすい環境にはなっている。(IT部門、男性、アメリカンファミリー生命保険会社)」
「リモートワークがかなり以前から認められており、多数の社員が頻繁に使用し、相互で認め合う風土がある。例えば客先打ち合わせ前後のオフィス立寄り回避、悪天候での通勤回避、通勤時間削減、家庭の事情などでの理由で、仕事を家で実施できることはワーク・ライフ・バランスを確立する上で非常に良いと感じた。(エンジニア、男性、日本ヒューレット・パッカード)」
「働き方改革」による強制力がワークライフバランスの鍵
平均残業時間や有休消化率も集計指標に組み込んだ今回、ランクインしたほぼ全ての企業で昨年よりも残業時間が削減され、加えて多くの企業で有休消化率も上昇していました。ワークライフバランスのクチコミには、「働き方改革」というワードが多く見られ、政府の方針や昨今の長時間労働問題によって、全社的な改革を推進したことが読みとれます。特に残業が常態化していた企業においては、PCの強制シャットダウンといった「本気」の施策によるテコ入れが見られました。裏を返せば、そのくらい本気を出さないと改革できない、とも言えます。
「21時にPCがシャットダウンする仕組みになり、昔に比べると業務改善されている。(営業、女性、ネオキャリア)」
「入社当初に比べると、『残業は悪』という考え方がかなり浸透した。全社を挙げて働き方改革をしている。一般職は22:00にPCが自動シャットダウンされていたが、少し前に21:00シャットダウンに短縮され、さらに残業は減ったのではないかと思う。(商品開発、女性、ディップ)」
「有給を積極的に推奨している。労働組合が中心に、有給取得状況を経営陣に報告しており、労使共に有給をとりやすい環境づくりに取り組んでいる。また近年の大手企業の残業問題の影響もあるが、相当サービス残業に対しては経営陣から指摘の声も有り、全社的にサービス残業撲滅及び残業時間削減の動きが加速している。また水曜日は早帰りデーを推奨する等、ワークライフバランス促進は経営陣から末端まで浸透していると思う。(営業、男性、豊田通商)」
「ここ1,2年でサービス残業、過残業に対する全社的な監視が行われ、プライベートな時間を確保しやすくなっている。(SE、男性、日本ユニシス)」
「去年までは残業をしなければ全く終わらない業務量であったが、現在は働き方改革の一環として、業務の削減が叫ばれており、また21時以降はパソコンを使用することが出来ないので、ワークライフバランスは取れる。(主査、男性、有限責任あずさ監査法人)」
「今年から残業が悪となり、資料は持ち出し不可なので時間としての余裕はできました。残業代ついてこその年収だった層にはつらい事態で、給与ダウンを嘆いています。(個人営業、女性、埼玉りそな銀行)」
「働き方改革は積極的に進めているように思う。週1の早帰りDAYは管理職がきちんと帰るようにしているため帰りやすい雰囲気。また有給取得もしやすい(ただ、これは部署間での差が激しい)。また『なくす、へらす、うつす』といった業務全体の効率化を積極的に図っているため、できるだけ業務量を少なくして自己研鑽の時間にしようという取り組みも進んでいる。(企業営業、女性、東京海上日動火災保険)」
「組合がとても強いため、有給の取得率が大変高く、自分自身のワークライフバランスがとても調整しやすい。さらに最近は通常の残業だけでなく、サービス残業撲滅にもとても力を入れており、会社としてあるべき姿に進んでいることを実感できる。(担当、男性、関西電力)」
「最近は意識が高い。55時間超で、産業医面談を勧められる。6ヶ月平均55時間超も業務改善命令。(金融系SE、男性、野村総合研究所)」
「以前はデフォルト22時退社でしたが、今は19時20時にはほとんど退社しているホワイト企業になりました。(プレイングマネジャー、女性、リクルートライフスタイル)」
「水曜日ノー残業デー実施、毎日20時パソコン強制シャットダウン導入以降はやっとまともな会社になった感じ。ある程度昇格すれば休日数も123日に増え、プライベートな時間もしっかり確保できる。(企画、男性、クラブツーリズム)」
「ここ最近はコンプライアンスと残業、休暇取得等が厳しくなり、数年前に比べて風通しが更に良くなっている印象。現社長になってから無駄な会議、書類、仕事、飲み会が徹底的に削減され、悪い文化も無くそうという上層部の努力が見られ、社員の幸せをしっかりと考えている会社だと感じる。(営業、男性、伊藤忠商事)」
「有給休暇はかなりとりやすいですし、在宅勤務制度もトライアルが実施されていて、国の働き方変革の政策に合わせて施策がなされています。また、部署によりますが、技術系は残業時間が制限されており、プライベートをしっかり確保できます。(技術系、男性、富士ゼロックス)」
データの集計について
データの収集方法
「Vorkers(現:OpenWork)」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。
会社評価レポートの回答条件は下記の通りです。
- 社員として1年以上在籍した企業の情報であること
- 500文字以上の自由記述項目と、8つの選択項目に回答いただくこと
以下の2つのデータについても収集しています。
- 月間残業時間(実数)
- 有休取得率(実数)
対象データ
2016年、2017年共に回答時現職社員からのクチコミを有する4,690社(合計57,265件)を対象に集計。集計対象は各年回答時現職のスコア及び数値に限定。(集計期間:2016年1月~2016年12月、2017年1月~2017年11月)
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