減少を続ける残業時間と社員の意識変化
要旨:
- 平均残業時間は継続減少となり、2018年の平均は28時間。調査開始の2012年と比較すると18時間減
- 年代別では最も長く残業していた20代が2015年から急激に減少し、2016年に30代を下回る
- 業界別では全業界で継続減少。前年比の減少時間が多かったのは「コンサルティング、シンクタンク」「インターネット」「建築、土木、設備工事」「建築、土木、設備工事」
- 業界は過去5年間で40.1時間/月の残業時間削減
今年6月に働き方改革関連法案が可決・成立し、来年4月から施行されることとなりました。中でも労働時間に関する制度に関しては月45時間年360時間が上限となる、上限を超えた場合に雇用主に罰則が科せられるなど、労働時間管理については引き続き企業側と社員側双方で意識付けを継続し、さらに決められた時間内で生産性を高めていくことが必要になります。
今回の調査レポートでは、Vorkers(現:OpenWork)に投稿された現職社員(回答時)による残業時間データを年次で集計し、平均の推移を調査しました。2014年から減少を始めた平均残業時間ですが、今年もさらに減少し、5年連続の減少となりました。集計を開始した2012年からは18時間の減少となります。今回は「年代別」と「業界別」での残業時間推移にも焦点を当て、全体的に残業時間が減っている中で、年代、業界で何か特徴はあるのかを調査しました。
今年の平均残業時間は30時間以下に!継続して減少中
平均残業時間は、より実態に即したものとするために、回答時「現職」の社員クチコミに限定して集計を行いました。2014年から減少を始めた残業時間ですが、5年連続の減少となり、今年は平均28時間/月という結果になりました。これは調査開始時の2012年と比較すると月間18時間の減少となります。
20代が大幅に減少。「若手を早く帰らせる」意識と、会社を冷静に見つめる若手社員
今回、減少している残業時間を年代別に集計し、傾向に特徴があるかを調査しました。どの年代も継続して減少していますが、特徴的なのが20代の残業時間で、2015年から大幅に減少しています。最近の調査で、上司・先輩の約6割が新人社員に対して「成長につながる仕事でも残業しないことを優先し業務を減らしている」と回答しており(※1)、企業からの残業時間削減要請が20代の残業時間減少に大きく影響したと考えられます。一方で、若手社員としても、昇進に興味がない若者が増えており(※2)、会社に長期的期待感を持ちにくい経済情勢の中、冷静な若者の就業意識が反映されているとも言えそうです。
(※1)日本能率協会マネジメントセンター「イマドキ若手社員の意識調査2018」
(※2)日本生産性本部「平成30年度 新入社員『働くことの意識』調査」
コンサルが前年比‐6.8時間で下げ幅トップ。建築は5年間で40時間減
業界別で見ても、すべての業界で平均残業時間が減少しています。去年と比べ‐6.8時間/月となったのは「コンサルティング、シンクタンク」業界。2013年のピーク時には平均残業時間82.6時間/月であったことを考えると、5年で37.1時間/月の削減となりました。人手不足が叫ばれる「建築、土木、設備工事」業界においても同様に、前年比‐6.6時間、過去5年間で40.1時間/月の削減となり、人材確保にむけた健全な労働環境づくりに取り組んでいることがうかがえます。
データの集計について
データの収集方法
「Vorkers(現:OpenWork)」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。
会社評価レポートの回答条件は下記の通りです。
- 社員として1年以上在籍した企業の情報であること
- 500文字以上の自由記述項目と、8つの選択項目に回答いただくこと
- 月間残業時間(実数)、有休消化率(実数)についても収集
対象データ
Vorkers(現:OpenWork)に投稿された、回答時現職の社員による残業時間168,873件を対象データとしています。業界別平均は、各年50件以上の回答のあるものを発表。(集計期間:2012年1月~2018年11月)
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