「女性活躍」道半ばの日本。女性に評価される「男女平等」な企業とは?
要旨:
- 1位P&Gジャパン、2位日本マイクロソフト。TOP10のうち7社が外資系企業
- 3位は群馬県に本社を置く、中古住宅のリフォーム・販売を手掛けるカチタス
- 女性社員からの評価の高さに共通する「平等な活躍機会」
- 実力主義、裁量の大きさが高く評価される傾向に
2016年に女性活躍推進法が施行されてから8年、働く女性の数は年々増加しています。しかし、イギリスの経済誌(※)が今年発表した女性の働きやすさランキングで日本は主要29か国中27位と、日本の女性活躍は世界的に後れをとっています。政府は大企業の女性役員の比率を2030年までに30%以上に引き上げる目標を掲げていますが、達成までの道のりは容易ではないのが現状です。
今回の調査レポートでは、若手女性社員が成長環境を評価する企業を探るべく、20代の女性社員から「20代成長環境」「人事評価の適性感」「待遇面の満足度」の3つの指標(各5点満点)で評価された企業をランキング形式で紹介します。
(※)The Economist’s glass-ceiling indexより
TOP2社を含む、上位10社のうち7社が外資系企業。仕事に挑戦する機会や評価が平等で、性差を感じない職場環境
20代の女性社員が、若手の成長環境や人事評価、待遇面を評価した企業のスコアを集計した本ランキング。1位にP&Gジャパン、2位に日本マイクロソフトの外資系企業が上位2社を占め、ともに「20代成長環境」「人事評価の適正感」「待遇面の満足度」の3つのスコア平均が5点満点のうち、4点を超える結果となりました。
また、ランキング全体を見ると、コンサルティング会社やテクノロジー関連企業など、多くの外資系企業がランクインしており、上位10社中7社が外資系企業となりました。社員クチコミで多く見られたのは「男女関係なく仕事に挑戦できる」「女性だから、といった考え方はない」など、性差のなさへの言及でした。女性社員が評価する企業とは、「女性に優しい」「女性が優遇されている」ことではなく、多くの場合は「平等さ」への評価であると言えるでしょう。また、日系企業に比べ、早くから多様な人材を受け入れ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進してきたことが背景にあると考えられます。
TOP30企業の女性社員がOpenWorkに投稿した、外資系企業の職場環境に関するクチコミ
男女による業務上の差別などは感じたことはない。営業は女性も多く、女性としての孤立感などは感じたことはない。そのため、バリバリ働きたい女性には向いていると言える。産休明けの方も多く、育児と並行している女性も多い。(営業、女性、P&Gジャパン合同会社)
この会社で、女性だから、男性だからというような考え方に直面したことはありません。男性でも育休を取られる方もたくさんいますし、女性でも同様です。また、(もちろん個人の就業形態や能力やロールによっては異なりますが)男女ともに同じ仕事量をやりますし、その分昇進の機会も男女平等に与えられていると感じます。(エンジニア、女性、日本マイクロソフト)
男女関係なく、仕事をしっかりとこなせればいいという社風がある。そのため、男女ともに家事や育児の時間を業務時間で考慮するのは管理職・アソシエイトレベルでも一貫していた。(アソシエイト、女性、PwCコンサルティング合同会社)
女性だからどうこうという空気は全くなく、とてもフラットで和やか。また、偏見を持っている社員に一人も出会ったことがない。そのほかにも、昇給の基準や評価など男女の差を感じたこともない。国内でこれだけフラットなのは珍しいのではないだろうか。(営業、女性、セールスフォース・ジャパン)
女性の採用を積極的に進めているため、周囲に女性は多い。他方、女性だから優遇されるとか女性だから優遇されないとか言った女性の特別感はなく、それが心地よい。平等に扱われていると思う。(アソシエイト、女性、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)
男女で性差別は全く感じません。DEIを非常に大切にしているため、女性を非常にエンパワーしますし、女性だからといって待遇が悪くなるといったことは全くありません。(マーケティング、女性、アマゾンジャパン合同会社)
男女関係なく実力があれば評価される上、産休育休含めたライフワークバランスは最高なので、女性にとって大変働きやすい環境だと感じる。(営業、女性、デル・テクノロジーズ)
裁量の大きさと実力主義も高く評価されるポイントに
多くの有名企業や大企業を抑え、3位にランクインした中古住宅のリフォーム・販売を手掛けるカチタス(群馬県桐生市)のクチコミからは、入社後の早い時期から裁量を与えられ、実力主義で透明性の高い評価を受けられることがわかりました。また、男性が多い不動産業界において女性社員の比率も高く、ロールモデルとなる女性も多いことがうかがえます。
こうした傾向は他のランクイン企業にも見られ、「チャレンジできる」「平等に昇給昇格機会がある」といった声が寄せられました。
TOP30企業の女性社員がOpenWorkに投稿した、成長環境に関するクチコミ
近年では女性新入社員の割合が半数を占めている。不動産業者においては非常に珍しい。女性独自の視点でリフォーム企画に携われる点、営業においても女性ならではの接客ができる点など、この会社では活躍の可能性が高いと感じる。(営業、女性、カチタス)
若手であってもチャレンジングな仕事を与えてもらえるので、成長環境としては申し分ないと思う。また、自分がやりたいことがあり自ら積極的に手を挙げれば、組織体制との兼ね合いはあるが、比較的希望通りにアサインしてもらえる印象。(アプリケーションエンジニア、女性、野村総合研究所)
男女を感じさせない、女性にも裁量もって働くことができる環境がある。ライフプランに合わせた働き方も可能で、周囲の理解もかなりある。復帰後のキャリア幅も広く、自分のやりたいことに新たに挑戦している時短ママも多い。(コンサルタント、女性、クイック)
女性比率も高く、数字を上げていれば、男女隔てなく昇給、昇格が見込めます。逆に言うとそれが全ての世界でしたので、男性と同じように実力主義の場所で働きたい場合は、とても合う職場だと思いました。また、女性比率が高いので、女性特有の休暇などは当然取りやすくあります。(営業、女性、キャリアデザインセンター)
対象データ
OpenWorkに2019年以降に投稿された20代女性社員(回答時現職)による会社評価レポート26,674件を対象データとして使用。
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