働く男女約540人の調査結果を発表 「会社を辞めたい」と思う瞬間

最多は「成長機会やキャリアパスが見えにくいとき」 50代は「人間関係」がトップ

要旨:

  • この会社を辞めたいと思う瞬間の最多は「成長やキャリアパスが見えにくいとき」、2位は「給与・評価に納得できなかったとき」
  • 評価制度や企業文化…個人の力では変えられないものへの「諦め」が決断の背中を押す?
  • 50代以降の回答者は「上司や同僚との人間関係が悪いとき」がトップ


人材の流動性の高まりから、転職はキャリアの選択肢として一般的になりました。総務省の調査※によると、2024年の転職者数は約331万人となり、3年連続で増加しました。裏を返せばそれだけ「会社を辞める」という選択肢が一般的になっているとも言えます。

オープンワーク株式会社(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:大澤陽樹)は、働く男女約540人を対象に聞いた「この会社を辞めたいと思う瞬間」をまとめました。キャリアアップを目的としたポジティブな離職に対し、会社に対する違和感や諦めから「辞めざるを得ない」と感じるのはどのような背景があるのでしょうか。働き手のリアルな声から考えます。


※)総務省 労働力調査(詳細集計)2024 年


この会社を辞めたいと思う瞬間の最多は「成長やキャリアパスが見えにくいとき

「個人」のキャリア情報をオープンにするコミュニティサービスOpenWork キャリアでの「『この会社辞めたい...』と思う瞬間はどんなときですか?」という質問に対するユーザー543 人(5月12日時点)の回答(単一回答)を分析したところ、「成長やキャリアパスが見えにくいとき」が最多の24.8%、次いで「給与・評価に納得できなかったとき」が22.1%という結果になりました。

技術進化や社会の変化が激しい時代では、今の仕事が将来通用するかどうか分からないことに漠然とした不安を抱える人も少なくありません。「自分の市場価値を高めたい」「どこでも通用する汎用的なスキルを身につけたい」という志向が強まるなか、回答者のコメントからは、明確な答えや展望がないことが離職を決断する大きな理由となることがうかがえました。


「成長機会やキャリアパスが見えにくいとき」と回答したOpenWorkキャリアユーザーのコメント

「『この会社の働き方はこの会社でしか通じない』というものが多くなってきた場合は転職します。もともと自分のキャリアパスは自分の意思で決断して選ぶ思考のため、これまで多くの転職を重ねてきました。どこの会社も多かれ少なかれ、その会社独自の仕事のお作法がありますが、それがあまりにも独自過ぎて他社で通じないものが自分の領域に増えてきたら転職を意識します。(経営企画)」


「今この瞬間に得るお金より、将来的に得続けるお金のほうが重要だと思います。将来的にお金を得続けるためには自分のスキルを身に着けることが一番の防衛策と思います。(システム開発)」


「今自分が何を学んでいて、キャリアターゲットに対してどこまでギャップがあるのか?は常に意識しています。(生産技術)」


「(成長機会やキャリアパスが)見えないと人間関係もギスギスしたり、生産性のない仕事、慣習を排除できなかったりする。そもそも会社の業績が伸びないのではないか。(システム開発)」


評価制度や企業文化…個人の力では変えられないものへの「諦め」が決断の背中を押す?

ユーザーのコメントからは、自社の評価制度や企業文化など「社員一人ひとりの力で容易に変えられないこと」への不満や諦めが共通点として見られました。こうした「諦め」が離職を考えるきっかけになる背景には、「組織に貢献したい」という思いとのギャップや「声を上げても届かない」という経験の積み重ねがあると考えられます。

また、経営方針の変更に対して、現場社員が「唐突」で「一方的」と感じることで自社に対する不信感を抱いていることもうかがえました。会社として大きな方向転換が必要な局面では、社員との間に一定の摩擦が生じることは避けられない現実です。一方、そのたびに社員が離職していては組織を維持することも難しくなります。上司と部下との間の対話や関係性が「望まない離職」を減らすために重要であることがうかがえます。


離職を考えるきっかけとして評価制度や企業文化、経営方針の変更と回答したOpenWorkキャリアユーザーのコメント

「評価制度は個人の努力で変えていくのが厳しいため。(SE、「評価・給与に納得できなかったとき」と回答)」


「無意味な会議と仕事がある会社は給与評価を適正に行えるわけがなく、成長機会も少ない。こういった企業文化は1番アンコントローラブルな気がする。(法人営業、「意味のない仕事や会議が多い」と回答)」


「上層部のお気持ちで会社方針が年度毎に変わるのですが、その方針に振り回される現場がとても大変で、会社方針が迷走するために将来の展望がわからなくなってしまった。(Webマーケティング、「会社・経営陣の方向性に共感できないとき」と回答」


50代以降の回答者は「上司や同僚との人間関係が悪いとき」がトップ


回答結果を20代、30代、40代、50代以降の四つの年代別で分析すると、50代以降を除く3つの年代の上位2つは「成長機会やキャリアパスが見えにくいとき」「給与・評価に納得できなかったとき」に集中しました。一方、50代以降の回答者の最多は「上司や同僚との人間関係が悪いとき」、次いで「給与・評価に納得できなかったとき」、「会社・経営陣の方向性に共感できないとき」という結果になりました。

職場の人間関係に悩む背景として、50代以降の会社員は一般的に管理職を担っていることが多く、上からは経営目線や変革を求められ、下からは多様な世代の価値観や期待に応えなければならない板挟みになっていることが考えられます。また、若手との仕事観のギャップやマネジメントの変化に対応しきれていない可能性もあります。苦悩や葛藤に寄り添うことはもちろん、従来よりも長期的なキャリア形成が求められ、変化の過渡期にある50代社員に「今の自分にできることがまだある」と実感してもらえる場づくりなどが必要なのではないでしょうか。


【調査概要】

  • 調査期間:2025年4月28日~5月12日
  • 調査方法:当社が運営するコミュニティサービス「OpenWorkキャリア」にて実施(単一回答)
  • 有効回答者数:OpenWorkキャリアユーザー543人
  • 調査結果URL:https://career.openwork.jp/question/abzdqui4e1kxj9


【OpenWorkキャリアについて】

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